終活で考える延命治療とは? 人工栄養編

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【終活で考える延命治療とは? 人工栄養編】

前回は終活で考える延命治療とは?人工呼吸器、ペースメーカー編を

お伝えしました。これから読む方はこちらをクリック

今回はその続きです。

4つの人工的な生命維持装置の中で最も考えるべき部分です。

それが、人工栄養についてです。

人工栄養とは

人工栄養とは

・経管栄養

・中心静脈栄養

この2つことを指します。

経管栄養とは、

飲み込む筋肉が低下したり、食べる意欲が低下し、

口からご飯を食べることができなくなった場合、

鼻から胃まで管を入れる、もしくは胃に直接穴を開けて

流動食を流し込むことです。

胃ろう

人が口から食べることができなくなる理由は様々ですが、

・脳梗塞などで飲みこむ筋肉が働かなくなった

・老化によって飲み込む筋肉が働かなくなった

・認知症で飲み込むということを忘れてしまった

というケースがほとんどです。

飲み込むことができなくなっても、

胃で消化したり、腸が栄養を吸収する機能は働いていますので、

喉を通らずに、直接胃に物を送りこめば、

栄養を送り続けることは可能だということです。

経管栄養で問題は解決するのか?

経管栄養は、鼻から管を胃まで入れる方法(経鼻栄養)

と腹部から胃に直接管を通す方法(胃ろう)

と主に2つの方法が代表的ですが、

どちらも、

飲み込むことができなくなった場合の解決法です。

もちろん胃や腸は働いているので、

そこまで栄養物が到達さえできれば、問題ないという考え方です。

しかし、実はそこには落とし穴があります。

食べ物を飲み込めないということがなぜ問題なのか?

気道食道

これは、人の顔を横から見た図です。

気道(空気が通る場所)と食道(食べ物が通る場所)

を表した図です。

この図を見ると、

気道と食道が交差している場所があることに気が付きますか?

この場所が、問題なのです。

この気道と食道が交差している場所では

通常であれば、食べ物を飲みこむ時に食べ物が気道に入らないように

蓋をしています。

しかし、

飲み込む筋肉が低下したり、

認知症などで、脳から喉に「飲み込む」という司令が

上手く伝えられなくなった状態の時、

気道に食べ物が入らなくするための蓋が上手く閉まらなくなるのです。

ですので、

食べ物が気道に入ってしまうのです。

食べ物が気道に入ると、肺に異物が入り炎症がおきます。

これを、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)と言います。

2015年人口動態統計(厚生労働省)の調査によると

日本人の死因の3位が「肺炎」です。

「肺炎」といっても、風邪をこじらせた肺炎が多いわけではなく、

「誤嚥性肺炎」が圧倒的に数が多いでしょう。

経管栄養を使用すれば、食べ物が直接喉を通らないので

誤嚥性肺炎は起こらないと考えがちですが、

実際はそうでもないのです。

経管栄養でも誤嚥性肺炎が起こメカニズムとは?

食べ物が直接喉を通らないので、

直接食べ物が通るよりは誤嚥性肺炎は起こりにくいです。

しかし、経管栄養が必要な方は

・脳梗塞などで飲みこむ筋肉が働かなくなった

・老化によって飲み込む筋肉が働かなくなった

・認知症で飲み込むということを忘れてしまった

このような状態です。

そして、このような状態になるのは、高齢者がほとんどです。

経管栄養が必要な方は、寝たきりの方が多く、

一日をベッドで寝たまま過ごします。

下の胃の図は人が立った状態での胃の形です。

ですので、ベッドに寝ている状態の胃は

胃の入り口が真横になるのです。

また、高齢ということもあり、胃の入り口(赤丸の部分)

の筋肉が若い頃よりも筋肉の締りが緩くなっています。

胃

胃の入り口の筋肉が緩いので、

食べ物が胃に入っても食道の方へ逆流してしまうのです。

そして

逆流した食物が気管に入ることで

誤嚥性肺炎が起こるのです。

ですから、経管栄養をしたから誤嚥性肺炎は起こらない

わけではありません。

また、鼻から胃まで管を入れる(経鼻経管栄養)の場合は、

その管がきちんと胃まで入っていれば良いのですが、

間違えて気管に管が入ってしまう場合があります。

もし、そのことに気が付かず、栄養剤を注入していたら

直接肺に栄養剤が入り、誤嚥性肺炎を引き起こすのです。

ですので、経管栄養は

口から物を食べるよりは誤嚥性肺炎のリスクは少しは減る。

と考えたほうが良いかもしれません。

経管栄養を行うと手を縛られるという現実

鼻から胃まで管を入れた(経鼻経管栄養)の場合、

その管は鼻や頬にテープで止めてあるだけの状態です。

その管をひっぱるとすぐに抜けてしまいます。

また、意図しなくても認知症がある場合や

手がひっかかれば管が抜けてしまいます。

ですので、経鼻経管栄養を行なっている場合、

その管を抜かないように手を紐で縛られる可能性があります。

手の抑制

これが実際の写真です。

手には鍋つかみのような、医療用ミトンがつけられ、

手首には抑制帯という、手が動かなくなる紐のようなもので固定されています。

このように腕を固定されていると、

あなたは腕を自由に動かすことができず

そのうちに、関節が棒の様に固まって動かなくなるのです。

現在の医療や介護の現場ではこのように患者さまや利用者さまを

縛る行為(身体拘束)は基本的は禁止されています。

しかし、そこにも抜け道があり、

このように必要な治療の妨げになる場合、

かつご家族に同意を得た場合のみ使用することができます。

ご家族としては、医師や看護師からこのような同意書を渡され、

「お母さんのためなので」

と言われれば、内心は嫌だと思っていても

同意せざるを得ないのです。

中心静脈栄養とは

鎖骨や首、股の近くの太い静脈に点滴を入れ、

一般的に見る点滴よりも高カロリーの点滴を入れることです。

CVカテーテル

この点滴は太い静脈に針を入れっぱなしになります。

このように、太い血管が常に外部と触れ合うことになるので

感染症のリスクは高くなります。

もちろん、管理は徹底していますが、

それでも太い血管から細菌が侵入し、全身にその細菌が回ってしまうと

最悪の場合、亡くなる場合があります。

また、寝たきりで高齢の場合は抵抗力も低くなっていますので

細菌感染の危険性は高くなります。

さらに、この点滴は看護師は入れることができません。

手や足に入れる点滴とは違い、医師しか入れることができません。

また、入れた後にきちんと血管に入っているか

レントゲンを撮って確認します。

ですので、この点滴は看護師はなんとしてでも抜かれたくないのです。

そしてまた、例により

手を縛られる可能性があります。

高カロリー輸液の実際

この時体に入れる点滴は

高カロリー輸液といわれる点滴です。

その名の通り、高カロリーなのですが

寝たきりで、高齢者の場合、

体の一部分だけが弱っているだけではありません。

全身が弱っているのです。

心臓、肝臓、腎臓といった臓器の全てが弱ってきています。

その状態で、高カロリーで栄養満点の点滴を体に入れても

その点滴を受け付けないことが大いにあります。

高齢になり、体の全ての機能が低下し

少しずつ死に向かっている時は無理やり体に

栄養満点の点滴を入れても、それを受け付けることができないのです。

しかし、その点滴をはじめてすぐにそれが体の症状としては

現れないので、体が受け付けない状態のまま

高カロリーの点滴は毎日、24時間、休みなくあなたの体に入り続けます。

人は本来口から食べるもの

人は本来、口から物を食べ、胃で消化し、

腸で栄養を吸収します。

これが本来の人のあり方です。

しかし、この中心静脈栄養は血管から栄養を摂る

ものなのです。

すでに、人の原理原則から外れています。

(もちろん、手術後の一時的なものなどに関しては

全く否定していません)

高齢で、寝たきりで最期の時間が近づいている方は

腎臓も肝臓も弱りきっています。

そこに、血管から高カロリー輸液を入れ続けると

ただでさえ弱っている肝臓や腎臓がやられてしまい

機能障害になってしまいます。

肝臓や腎臓の機能障害になると、

体がどんどんむくんできます。

見えるところだけがむくむのではなく、

肺や腹部に水がどんどん溜まります。

そうなると、

痰が増え呼吸が苦しくなります。

例えるならば、溺れているような感覚です。

そして、腹部に水が貯まれば、苦しくなります。

そうやって、体中に水が溜まって、苦しみながら

あなたは亡くなるのです。

これが、人工栄養の実際なのです。

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